最新版のものづくり補助金の公募要項をみると「令和元年度補正・令和二年度補正」と表記されており、なぜか前年や前々年度が記されています。「令和3年度予算じゃないの?」と違和感を覚えた方も多いと思います。いったいどういうことなのでしょうか?
今回は何となくわかるようでわかりづらい、予算と補助金の関係をものづくり補助金を中心に説明していきます。
※以下の金額計算は補助金の事務局運営などの費用や他の小さな関連事業も含んでおり、あくまで概算となりますことをご容赦ください
ものづくり補助金の当初予算
ものづくり補助金の交付決定金額はR2年度の途中段階(R2年度1次~3次)においてすでに543億円に達しています。ところが経済産業省の当初予算を見るとR2年10.1億円、R3年10.4億円しか計上されておらず、しかも「企業間連携型」「サプライチェーン効率化型」の特殊なものづくり補助金の予算とされています。
いわゆる「ものづくり補助金<一般型>」は当初予算ではなく補正予算で賄われています。さらに補正予算の中の「中小企業生産性革命推進事業予算」の中に含まれ、この予算にはIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金なども含まれる一体型になっています。
本予算(当初予算)に入っていない理由
なぜ、毎年実施されている人気のものづくり補助金が一般予算ではないのでしょう?ここで補助金の事業実施期間を考えてみましょう。事業実施期間が10か月だとすると4月、5月に開始した事業以外は国の会計期間内に収まらず、3月を超えると「繰り越し」が発生する可能性が出てきます。「繰り越し」にする場合、当初予算は「会計年度独立の原則」から特例手続きが必要になり、国も補助事業者も法に則った非常に煩雑な手続きが必要になります。これを避け、会計年度がまたがった場合にも円滑に運用することができる「補正予算」にしているのです。
R1年度の補正予算額
R2年度以降「中小企業生産性革命推進事業」の財源としてR1年補正予算3,600億円が3年分の予算として計上され、通年公募になりました。1年あたり1,200億円の計算になりますね。
R2年度の補正予算1~2次
R2年度はコロナ禍があったため1次・2次補正あわせて1,700億円を計上。R2年度はR1年補正予算の1,200億円分と合わせて2,900億円が中小企業生産性革命推進事業の予算となりました。各補助金にいわゆる「コロナ枠」や「コロナ型」の追加設定がなされる原資となりました。
R2年度の補正予算3次
さらにコロナ禍の長期化からR2年末に第3次補正予算として3,200億円が追加されました。
おおむね、年度末に近いタイミングでの補正予算は次年度以降を見据えての設定となります。この3,200億円を今後2年分に振り分けるとR3、R4年度はそれぞれ2,800億円となり、ほぼR2年並みの予算が確保されていると推測されます。
本日のまとめ
ざっと当初予算、補正予算とものづくり補助金(中小企業生産性革命推進事業)の関係を見てきました。ただし、弾力的運用を意識しているとのことで内訳はわかりませんでした。確実に言えることは向こう2年に渡って2,800億円あまりの「中小企業生産性革命推進事業」予算が確保されているということです。
補助金を検討する際、ベースとなる3つのメジャーな補助金の予算がきちんと確保されていることは事業者さんにとっては心強いですね。