インボイス制度ってなんでしょう?

今回はインボイス制度についてのお話しです。

当社でも今、インボイス対応に追われていますが、国が何のためにインボイス制度を導入をしようとしているか?といった背景まではなかなかわからないので、説明しようと思います。

ダウンロード通常、会社に勤めていると、給料に応じて所得税やら地方税やら年金やら健康保険料が、給与から自動的に引き落とされています。その引き落とし金額の平均は給料全体の20%~22%です。会社はこの税金や年金、保険を集めて、まとめて国に納付をしています。よって給与をもらっている勤め人は、強制的に税金を納める仕組みになっています。

他にも、例えば私が講演したり、取材を受けたりすると源泉徴収税が10%かかります。例えば講演料が3万円だとすると、10%が引かれて27000円が渡されます。このように相手が個人でも、会社から何かを支払う時は10%の源泉徴収税がかかります。

法人格を持っていると、定期的な税務調査が入り、厳しく指導が入ります。そのため、ほぼ自動的に、網羅的に税金を徴収されるようになっています。

それなのに、今まで盲点のように税金が発生していなかった人たちがいます。

それが法人格を持たない、個人事業主のフリーランスの人たちです。

例えば原稿料や講演料には10%の源泉徴収税が自動的にかかるのに、例えば、H社のMさんの毎月のコンサル料には源泉徴収が引かれていません。そのくせ、請求書には10%の消費税を入れた請求書が届きます。この消費税を国に納付しているか?というと、していません。なぜなら、法人格ではないからです。

消費税の支払い金額は、自社がもらった消費税と支払った消費税の差分になります。よってMさんは消費税をもらっても、支払うことはないため、消費税分10%、得をしています。

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なぜ、このようなことが起きるか?ということ、フリーランスの人たちは法人格をもっていないので法人番号がなく、実態がつかみにくく管理できていないからです。そのために、フリーランスの人もインボイス対応させ、インボイス番号を付けることによって、しっかり徴収していこうという試みが今回のインボイス対応です。

背景として、コロナの影響で在宅勤務が増え、ネットの発展により、多くの企業でも副業が認められるようになり、空いている時間で副業をする人が増えました。ただ、今までの社会では、真剣に副業をする人に対しては、かなり厳しい税法があって副業をしても儲からないようになっていました。

例えば企業に勤めているけれど、実家が不動産を持っていて、形だけの不動産屋を運営していて、毎月そこから給与という名目でお金が振り込まれていたら、所得税は累進課税となり、通常の所得税より倍、上がります。

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所得税の税率が跳ね上がるため、下手に仕事をすると逆に手取りが減るといった皮肉な結果になっていました。そのために、副業は割に合わず、複数の会社を経営している社長は、支払い口座を絞らないと半分(最高税率45%)税金にもっていかれてしまうという笑えない状況になっていました。

でも時代は変わり、毎月定期的な給料ではなく、コンサルタントフィーやらネットでのポイ活といった支払いがたくさん行われ、個人のフリーランスが増え、税務調査の対象が法人しかない国としては、とりっぱくれが発生している状況です。これを背番号をつけることによって、きちんと把握していこうとしています。

背番号がついていないフリーランスへの支払いをまずストップさせ、強制的に背番号をつけさせ、消費税や源泉所得税をきちんと徴収していこうという流れです。

消費税の金額は大きく、当社だと今年の消費税は2000万円を超えます。もらった消費税から払った消費税の差額が2000万ある、ということで、毎年2月に支払わなければなりません。そしてこの額は毎年、増え続けています。

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ここで皆さんに覚えておいてほしいことが2点あります。

1.フリーランスの会社から請求書が届いて、インボイス番号がついていなければ、消費税を支払う必要はありません。

2.人件費には消費税がかかりません。

SOHOには消費税がかかりません。だから当社はもらった消費税が多いけど、出ていく消費税がないため、消費税の金額が毎年上がり続けています。

今回のインボイス対応のせいで、正社員の登用が減り、派遣会社への移行が進むと言われています。派遣社員は割高ですが、派遣会社からの請求書には消費税が入っています。よって「出」の消費税があります。
これに対し、社員は自分が払っている保険料や年金に対し、同額を会社が負担しています。この金額は年間かなり高額です。どちらが得か?を計算すると、消費税の支払い金額が大きな会社であればあるほど、消費税の「出」の対象になる派遣会社の方が得だ、という計算になります。

よってインボイス対策によって、有期雇用へのシフトが更に進むと考えられています。

覚えておいてほしいのは、フリーランスへの支払いはインボイス対応している企業に限定すること。費目は人件費ではなく、納品物、コンサルタントフィーなどにしてもらい、消費税が当社から「出」るようにすることです。

あともう一つは、SOHOを人件費ではなく納品物への支払いにして、内税でも外税でもいいので、消費税をつけて、「出」の消費税を発生させることです。SSからの請求書に消費税がついているか?確認して下さい。ただSSからの消費税があっても、SS内で人件費の支払いだと、今後はSSに高い消費税が発生します。よって、SSの消費税を検討していきます。

意味わかりましたか?

担当者は、検討して下さい。

 

 

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