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バス停情報研究家の佐野一昭(さの・かずあき)さんに、毎月1回「バス路線図データから紐解くバスの乗車方法」をテーマに執筆いただいております。
令和元年はMaaS(Mobility as a Service)元年ともいわれ、今後ますます交通がITの力やデータの力を借りてシームレスになっていくといわれています。そうした中で、日本とアメリカの間、利用者と事業者の間など、いわばデータ活用の交差点に立つ佐野さんから、交通とデータのかかわりについて、ご自身の体験を交えてご紹介いただきます。ぜひご覧下さい。
運賃表
バスに乗るには運賃を払わなければなりませんが、事前にそれがいくらなのかを知る必要があります。
運賃の種類
バスの運賃にはどこで乗ってどこで降りても同じ均一な運賃と、乗車した距離などによって変わる運賃のふたつに分けることが可能です。
また、払うタイミングは乗車するときに払う先払い(前払い)と、降車するときに払う後払いに分けることができます。
均一運賃の場合は先払いが多く、距離などで変動する運賃は後払いが一般的です。しかし、一部の路線では乗車時に運転手に降りるバス停を告げて、それに応じた運賃を払うパターンもあります。 これらは、地域によって変わるため、普段バスに乗っている方でも、旅行などでよそに行ったときに運賃の払い方などで混乱してしまうことがあるのではないでしょうか。不慣れな場所でバスに乗ろうとする場合、事前にウェブサイトなどで運賃について調べておくとよいでしょう。
運賃の調べ方
バス事業者では運賃表を用意しています。案内所などで入手することもできますが、最近はウェブサイトで確認できる事業者がほとんどです。
たとえば、東京都交通局の運賃は、東京23区内の路線は均一運賃です。路線の種類によって金額が変化しますが、一般路線であれば210円なのでわかりやすいです。
いっぽう、多摩地域の路線は対キロ区間制運賃で、距離に応じて運賃が変動するパターンです。こちらは、三角表などと呼ばれる運賃表で、慣れないと見づらいかもしれません。
たとえば、青梅駅前から西長岡まで乗る場合は、青梅駅前の行(横向き)と西長岡の列(縦向き)の交わったところに書かれている270円が運賃になります。
なお、運賃は現金とICカードなどでの支払いで金額が変わる事業者があります。現金だと10円単位ですが、ICカードなどでは1円単位の運賃になっている場合があり、現金のほうがやや高くなる傾向があるようです。
また、小児運賃が設定されていることも少なくありませんので、これらについての説明があれば確認しておきましょう。
小児運賃など
小児運賃とは、小学生以下などの運賃で大人運賃の半額が設定されていることが多いようです(半額が5円などの端数になった場合は10円切り上げる)。また、未就学児(幼稚園以下)は大人同伴であれば無料なのが一般的ですが、バス事業者によって無料になる人数に違いがあったりしますので、事前に調べておくと良いでしょう。
このほか、障がい者(身体障害者手帳等を所持した方)などの割引運賃を設定されていることもあります。
深夜バス
深夜バスとは、始発バス停をだいたい23時より遅い時刻に発車するバスのことで、運賃は通常の倍額が設定されていることが多いようです。
余談ですが、一般的に深夜バスは通常の路線バスが深夜帯に走る便のことを指し、都心から郊外を直結する昼間の鉄道線に相当するような区間を走るバスは深夜急行バス、ある都市を深夜に出発して数百キロ以上離れた別の都市に早朝に着くようなバスは深夜高速バスと呼ばれています。
一日乗車券
指定した一日にバスが何度でも乗車できる一日乗車券を販売しているバス事業者があります。例えば東京都交通局の東京23区内の一日乗車券は500円です(ほかに多摩地域や都営地下鉄にも乗車できる700円の一日乗車券もあります)。
一日乗車券はだいたい3~4回以上乗車すると得になるような金額が多いように思います。一日で数か所を巡るような場合は、一日乗車券を使ったほうが安くなりますし、たびたび運賃を調べる手間も不要になりますので、そのようなときはおススメです。
執筆者情報
佐野 一昭(さの・かずあき)
バス停情報研究家。
1968年生まれ、広島県出身。幼少期からバスが大好きで20代で全国各地のバスを見てまわり47都道府県訪問。最近はアメリカのバスにも興味が出てきて毎年渡米、20を超える都市でバスの使い勝手を体験している。まったく異業種の企業に就職したが、バス情報をうまく利用者に伝えたい思いで2014年に独立。現在は、利用者とバスの接点であるバス停位置情報を現地調査し、それを企業などに提供している。
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