こんにちは、NNです。“思考の整理”を鍛えるには、ミステリーは最適です。
タイトル:『ラットマン』
著者:道尾秀介
作中主人公達が行きつけの飲み屋さんで他愛のない会話として使われていますので、まんま引用させていただきます。
-「これ有名な『ラットマン』の絵なんだけどな。端っこのふたつ。」
-「動物と並んでいる方は、ネズミに見える。ところが人と並んでいる方は、おっさんの顔に見える。ほとんど同じ絵のはずなのにな。」
“前後の刺激が知覚の結果を変化させてしまう現象”
と まとめています!
アマチュアロックバンドでギターリストをしている姫川亮は、14年来馴染みのスタジオで練習を行うのですが、元バンドメンバーで恋人のひかりがスタジオ倉庫内で亡くなってしまいます。状況は事故を示しているのですけれど不自然と思える事も。その日スタジオには姫川らSUNDOWNERのメンバーしかおらず、もし事故でないのであればメンバーの誰かがひかりを殺害したことに…。
仲間を疑うことをしたくない彼らは警察に対してそれぞれ曖昧な供述をおこない…。
文庫本では300ページ程で、しかも活字でっか!なのにストーリーは薄っぺらになっていないのは、さすが道尾さんだからでしょう!ミステリの要素としては“Who done it”なのですけれど、お話が過去と現在の二重構造になっていてミステリであることを忘れてしまうほどです。
どんでん返しも見物で、読後感も後味すっきりですのでオススメの一冊です。
本を閉じた後、『ラットマン』のタイトルに喝采を送ることになると思いますよ!!
著者プロフィール
2004(平成16)年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。2007年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、2009年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、2010年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞、2011年『月と蟹』で直木賞を受賞。