今回はここ数年で、私が一番ギフトだとエピソードを紹介します。
私は趣味で発明をやっていて、幾つかの発明品があり、その中でのりかえ便利マップがきっかけて起業した話しは、以前のブログでご紹介しました。
当初、私は発明学会に入り、自分で発明事業化セミナーを通信教育で受講し、その流れで一つ一つ自分の発明品を企業に売り込んでいました。当時の発明学会の中の一番のスターは「初恋ダイエットスリッパ」の開発者の中沢さんという人で、よくテレビなどで紹介されていました。私は1件目の発明品が商品化された時、発明学会の人にお願いして、中沢さんを紹介してもらいました。
中沢さんとお会いした時、私が感じた正直な感想は、失礼な感想で恐縮なのですが「楽勝じゃん!」でした。
というのは、私は実家が旅館で、小さい時から商売をみてきていて、両親も商売人だし、学生時代も自分で塾を経営していて、就職先の01ショップでショップでもトップ販売員だった私は、中沢さんのおっとりとした感じがどう見ても商売の素人にしか見えず、こんなレベルの人でスターになれるなら、発明なんて楽勝じゃん!と感じたのでした。
その後、のりかえ便利マップがきっかけで、わずか1年後には起業します。「私の楽勝じゃん!」という直感は見事に当たりました。ただ起業した後、ITにシフトするまでは順調でしたが、その後は思うようにいかず、楽勝じゃない日々が続きました。低迷すること十数年、自分の甘さを実感する毎日が続きます。
そんな中、私が救われたのは、
「福井さん、まずは雪の玉を作りましょう。まずは雪の玉をしっかり作って、それを転がして大きく膨らませればいいんです」
という、経営コンサルタントの女性の言葉でした。
この言葉に頭を打ちぬかれたような衝撃を受けました!
それまで私は発明のような開発ばかりをやっていました。だから価格表は商材であふれていました。
「そうじゃなくて、発明はしなくていいんだ!一つのものを作り込み、それをシンプルに回転させて膨らませていけばいいんだ」ということにやっと気づきました。
そこから私のマインドセットは一気に進み、まずは余計な新商品の開発をやめ、社内の改革を始めました。
最初に手をつけたのは、ずっと赤字だった助成金事業部に入り、とにかくビジネスモデルを作り、収益の柱を作っていきました。コンシェルジュやコンテンツプランといった雪の玉を作り、スタッフの増員と整備を行い、就任して2年目に黒字化を実現しました。この時は本当に嬉しかったです!
次に手をつけたのが、SOHO系の制作チームで、最も残業が多くクレームの多かったチームです。まずはノウハウのマニュアル化、プロ化に向けた社内研修や社内勉強会、評価制度の見直しをしました。この時は、私のやり方が強引だったせいもあり、社内がオオモメにもめて、退職者がたくさん出ました。制作スタッフの半数近くが退職する大事件になってしまいました。この時が、私にとって一番辛い時期で、ここ数年の中での「底」でした。
次に社内の評価システムを変え、個人と部署の重点施策による人事評価を取り入れました。これによって個人の目標と部署の目標、会社の目標のベクトルを合わせられるようになりました。ここまでが一番大変で、評価システム導入で一気に楽になったのを覚えています。
次に管理のテコ入れを行い、採用ミーティングに参加しプロジェクト化して、採用の専任スタッフの採用や離職率を下げるための施策を打ちました。プロジェクトを始め、フリーアドレスへの移行を実施したのもこの時期です。一昨年から、一番の懸念事項だった経理のテコ入れをやっと行いました。経理ちゃんの開発や経理担当者の変更、マニュアルの整備、資金繰りなどの数値の精度を上げ、月次の精度を上げ、経理ちゃんとJDLの差異を埋めるのもやっと始めました。これはまだ現在進行形で続いていて、頭の痛い問題がたくさんあり苦戦しているのは、皆さんもよくご存知ですね。
そして昨年から始めたのが、BS営業の組織の見直しです。商材が多く、ノウハウの共有がされていなかったため、営業の新人が育たないという課題を、今も試行錯誤をしながら頑張って組織改革をしています。
そしてこれからは、インサイドセールスを課にしていくのと人の増員、財務の強化、助成金の内部スタッフを増員し、継続率をあげるための施策も実施していく予定です。
「雪の玉を作りましょう」と言われてから、約5年強かかりましたが、最近ようやく結果が出てきて、社員も定着し、業績も上がってきつつあり、手ごたえを感じている今日この頃です。
もしあの時、「雪の玉を作りましょう」というアドバイスを受けていなかったら?と思うと、ぞっとします。だからこの言葉は、私のお守りであり、長く頑張ってきたからこそ神様がくれたギフトだと思っています。この言葉によって、やることが整理され、シンプルに仕事の流れをみれるようになった「魔法の言葉」です。
そして一緒に頑張ってきてくれたスタッフはきっと「あったなー。そんなこと」と思い返すような出来事も多いと思います。
「雪の玉を作りましょう」と私に言われたことのある人は、そういうことだったのか!?と思い出して下さい。
以上、「雪の玉を作ろう」のお話しでした。